外観検査装置(欠陥検査装置)とは、部品や製品の品質を一定に確保するために、外観を検査して欠陥部分を検出する装置です。検査では外観上の欠陥を検出して良否判定を行います。
欠陥検査は外観の欠陥を調べる検査としてさまざまな業界で導入されていますが、欠陥検査の種類によっても選ぶべき装置は異なります。基本的な検査は以下の通りです。
検査をしたい対象物の大きさや形状によって適した検査方法が異なるほか、検査装置によっても検査項目や特徴が異なります。
製造工程において、高精度の外観検査装置(欠陥検査装置)は製品の歩留まり向上・製造プロセスの品質管理になくてはならない存在です。外観検査装置の精度には、複数回の測定での値のばらつきが小さく、真値にどれだけ近い値かを示せるかが求められます。
近年では製品の微細化に伴って最小検出欠陥寸法が小さくなっていることから、欠陥検出感度の向上は外観検査の精度における重要な課題です。特に半導体分野ではウエーハサイズが拡大し、検査面積も大きくなっているため、高感度かつ高速での欠陥検出が求められています。
現場のニーズに応えようと多くのメーカーが画像処理を中心とした技術開発に取り組んでおり、外観検査装置の精度向上を図っています。外観検査の精度を保つことは、検査のばらつきやヒューマンエラーによる事故・不良品の流出を防ぐためにも重要です。
製品の微細化に伴って検査の難易度は上がっているため、外観検査装置の精度は今後ますます重要になってくるでしょう。
流通する自社製品に傷や欠陥があっては顧客からの信頼を失ってしまうほか、事故や不具合のもとになる可能性もあるでしょう。
以前は「部品や製品に傷や凹凸などの異常はないか?」という検査はすべて目視にて行われていました。目視検査では検査員の目で部品や製品の良否を判定し、必要に応じてルーペや顕微鏡なども使用されています。
確かに人間の目による目視検査では、機械では成し得ないような細かな判定が可能です。そのため人海戦術に頼り、欠陥検査の自動化は実現できていない…という企業も多いでしょう。
しかし、毎日何千何万と製造される部品や製品の欠陥検査を検査員の目だけに頼っていては、時間と人件費がかかってしまううえ、ヒューマンエラーも起こりやすくなってしまいます。
外観検査装置(欠陥検査装置)を導入し検査を自動化することで、部品や製品の品質確保と検査の効率アップ、人件費削減などを実現できるでしょう。
目視検査では「作業者による検査精度のばらつき」が課題となっています。また、「作業者を確保するための採用・育成コスト」も企業を悩ませる問題のひとつ。さらに目視検査は「カメラやレーザーに比べて検査効率が劣る」という点もあり、検査装置の導入がおすすめです。
検査装置では高精度な検査を短時間で行えるうえ、目視検査では限界のある細かな部品の検査も可能です。項目によって検査装置と目視検査を使い分け、検査効率の向上と生産性向上を実現させましょう。
外観検査装置(欠陥検査装置)を導入することで、検査を自動化できます。今まで人海戦術で対応していた検査を機械が代わりに行ってくれますから、人員の負担は大きく軽減されるでしょう。
外観検査装置(欠陥検査装置)の性能は進化し続けています。人の目による目視検査レベルには未だ及ばない部分もありますが、機械で検査を行うからこそ見つけられる欠陥もあるでしょう。
外観検査装置(欠陥検査装置)であれば検査の質を落とさないまま多くの対象物を検査できます。目視検査で起こり得る、良否の判断基準が異なる可能性を排除することが可能。外観検査装置(欠陥検査装置)では機械が一定な良否判定を行いますから、常に安定した検査を実施できます。
外観検査装置の検査には、検査対象物をカメラで撮影する画像処理方式や、レーザースキャンなどの検査方式があります。検査対象物の微細な欠陥をも見逃さずにスピーディな検査を行えますから、外観検査装置(欠陥検査装置)を導入することで検査効率がアップ。検査効率が上がることで製造の流れもスムーズになります。
これまで多くの人員を必要としていた検査も、外観検査装置を導入することで人件費を大幅にカット。装置の導入にはコストがかかるものの、ランニングコストで考えれば装置を導入する方が安く抑えられます。また、検査項目が増えた場合でも、外観検査装置(欠陥検査装置)であれば人員を増やすことなく対応可能です。
外観検査装置を導入する場合、イニシャルコストが発生します。ただし、外観検査装置を導入することで省力化や工数削減を実現できるため、検査項目数や検査の難易度などによっては目視検査に頼るよりもコストメリットを感じられる可能性もあり。どちらのほうがメリットが大きいのか費用対効果を分析しながら、導入を検討しましょう。
外観検査装置を導入してもすぐに稼働できるわけではなく、良品と不良品の判断基準を検査装置に学習させる必要があります。また、製品の形状や検査項目などによっては外観検査装置だけだと十分な検査を行なえない場合もあるため、目視検査でまかなう項目についても事前に決めておきましょう。
外観検査装置を導入したのに、検出したいNGが検査できないケースがあります。その原因となるのが、装置を製作するメーカーにNGを正しく共有できないことです。
たとえば似たような傷でも「突いたような打痕」と「押したような打痕」では検査条件が異なるため、突いたような打痕をNGとして検出する設定にした場合、押したような打痕は検出できない可能性があります。
正しくNGを共有するには、検査基準を明確に数値化することが重要です。「金属の表面を突いたような打痕」だけだと大きさが不明瞭なため、「金属の表面を突いたような打痕で開口径φ1mm、深さ1mm以上のものはNG」とすると、検査要求に応じた外観検査装置に仕上がりやすくなります。
目視検査に頼っていた企業だと明確な数値基準を設けていないところもあるかもしれませんが、満足いく検査を行うためにも数値基準の設定をおすすめします。
外観検査装置のインターフェースは専門用語ばかりのことが多く、画像処理検査に関する知識を持った専任者しか使いこなせないケースがよく見られます。画像処理検査を扱える人材を育成するにもコストと時間がかかってしまうため、専任者任せになってしまうことも。
ただ、それだと専任者が不在時にラインが止まってしまい、生産効率の向上を図るはずの外観検査装置を導入した意味がありません。
こういったリスクを回避するには、扱える人材を育成または雇用するか、誰でも操作しやすいように分かりやすいインターフェースを開発してもらう、などの対策を講じる必要があります。
製品のキズなどの欠陥を検出する欠陥検査装置の検査方式では、「画像処理方式」と「レーザースキャン方式」に大別できます。
画像処理法式ではカメラで撮影したデータを処理し、画像に表示して欠陥検査を行います。目視検査における人の目をカメラ、人の脳をコントローラとして置き換えて考えると良いでしょう。
検査ではあらかじめ良品の情報を登録しておき、カメラで撮影した対象物データと照合して合否判定を行います。画像処理方式では対象物を確実に撮影することが検査精度に影響するため、カメラのレンズや照明の選定が重要なポイントです。
画像処理方式では、検査部にあたる受光器にCCDカメラを採用しています近年ではCMOSセンサーが普及してきているものの、一部の研究用途ではCCDカメラが用いられています。
CCDカメラには感度が高いという特徴があり、欠陥検査として撮影したデータを判定用の回路に送信。投光器から照射した光が検査対象物にあたることで反射または透過し、CCDカメラに取り込まれたあと電気的な信号に変換される仕組みです。
レーザースキャン方式では対象物に光学レーザーを照射し、反射光を分析して表面の傷や欠陥を検査します。物体表面のキズや変形に関しては、画像処理方式よりも高精度な検査が可能。
なお、レーザースキャン方式では、安定した照射が可能な「平行ビーム型」と検査精度の高い「レーザー集光型」があります。また、集光スポットが安定しないというレーザー集光型の弱点を克服した「可変焦点方式」も登場しています。
外観検査装置の導入には多くのメリットがありますが、これまで行っていた目視検査のすべてを自動化できるわけではありません。そのため、検査装置が得意とする検査を機械に任せ、それ以外の検査は目視検査で進めていくのが良いでしょう。
また、対応できる検査対象物や検査項目、検査の精度は装置によって異なります。メーカーや機種によってそれぞれ得意とする分野が違うため、自社の検査対象物や検査項目に合った装置を選ぶことが大切です。
外観検査装置による検査をおこなう対象物の選定も導入成功のための重要なポイントです。まず、導入による効果を得るために「目視検査にかかる時間が他製品と比べて長い」製品を対象物に選定しましょう。
また、「今後も継続して受注する製品である」「他製品への展開も期待できる形状・材質である」点も考慮し、外観検査装置を長期的に活用できるかを見極めることも大切です。
さらに、対象にしたい製品が「外観検査装置で良否判定できるか」も大切です。たとえば複雑な形状の対象物の場合、外観検査装置によっては正確な良否判定を行えないことも。そのため、検査対象物に合った検査性能をもつ装置の導入を検討しましょう。
外観検査では不良品の特徴をAIに学習させる方法があります。不良品のデータを学習させることでAIが製品の良否判定をおこなえるようになるのですが、不良品の学習自体が不十分では正確な良否判定がおこなえません。
たとえば「学習させていない不良品の種類が見つかった」「不良品の特徴をしっかり撮影できていなかった」「肉眼では見えない製品の特徴を考慮せずに学習させたことで、目視では良品でもAIでは不良品として判定してしまう」などの問題が挙げられます。
参考:経済産業省「AI導入ガイドブック」
(https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/jinzai/AIguidebook_gaikan_ryohin_FIX.pdf)
たとえば半導体製造では、以下の工程で各種検査が必要です。
半導体製造では、パーティクルなどによって不良品や歩留まり低下が発生するリスクがあります。そのため、洗浄効果についての検査が必要。ウエーハ表面検査装置を用いて洗浄したウエーハを検査し、汚染の程度を確認します。
汚染物の種類としてはパーティクルや金属、有機物などがあり、汚染物の種類に応じた検査装置が必要です。
ドーピングによってウエーハ上の結晶構造に不純物が導入されます。そのため、イオン注入をした後、デバイスの抵抗値を検査するための「半導体ウエーハ抵抗率測定」を行います。また、イオン注入・熱処理工程の前後にパーティクル検査も実施します。
リソグラフィー工程では半導体製造において、ウエーハに平面図を描きます。平面図を描きながら構造を重ねる工程を繰り返すため、重ね合わせにズレがないかを確認する必要があります。
そのほかにも寸法やパターン欠陥の検査が必要であり、走査型電子顕微鏡やパターン付きウエーハ欠陥検査装置などを用います。
エッチング工程ではパーティクル汚染やパターン欠陥がないか、またエッチングによって正常な形状を得られたかなどの検査を行います。ウエーハ欠陥検査装置やウエーハ表面検査装置、走査型電子顕微鏡などを用います。
ウエーハ上に薄膜を形成する成膜工程では、パーティクル汚染のほか、抵抗値や膜の厚さなどを検査します。膜厚検査では膜厚測定装置が用いられ、分光式によって光の干渉を解析します。
パーティクル汚染やパターン欠陥、膜厚のほか、平坦度も検査します。平坦度の検査では、光の干渉をカメラで撮影し模様を分析する干渉法が用いられます。
外観検査装置の導入にかかる費用において、一部を補助してくれる制度があります。各補助金制度では中小企業などを対象に技術開発やサービス向上のための費用を補助しており、申請後採択された案件について補助金を支給しています。
なお、各補助金制度では条件や補助内容、補助金額などが異なるため、理解したうえで余裕をもった申請を行うことをおすすめします。
参考:【PDF】全国中小企業団体中央会「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金公募要領(16次締切分)」
(https://portal.monodukuri-hojo.jp/common/bunsho/ippan/16th/公募要領_16次締切_20230912.pdf)
参考:IT導入補助金2023(後期事務局)「通常枠(A・B類型)」
(https://it-shien.smrj.go.jp/applicant/subsidy/normal/)
株式会社ヨシズミプレスは金型製作から順送プレスまで一貫して生産を行っており、導入前は月50万個の製品の目視検査を実施していました。目視検査を担当する検査員は6名。すべての目視検査を終えるには6名の検査員で10日間ほどかかっており、ひと月で450時間もの検査時間を要していたそうです。
そこで、直径5mmほどのレーザーダイオード部品の目視検査をAIに任せることで、検査に必要な時間を月279時間(約40%減)にまで削減。利益率アップや従業員のストレス軽減につながりました。
同社の吉住研専務取締役は「モデル構築のプロセスが理解しやすく、外観検査装置についての知識がなくても導入できた」と話しています。
参考:経済産業省「AI導入ガイドブック」
(https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/jinzai/AIguidebook_gaikan_ryohin_FIX.pdf)
プラスチック加工などの製造業を営む墨田加工株式会社。導入前は月約4,320個の製品を目視で検査しており、検査員2名で3日間ほどの検査時間が必要でした。目視検査では眼の疲れやヒューマンエラーへの不安も抱えていたようです。
導入後は、3cmほどの円形状プラスチック加工品をAIによる検査へ移行。AIは周辺視で検査を行い、結果を待つ間に検査員が中心部を目視検査する流れに変えました。その結果検査時間を約36%減少できたとのことです。
同社の副工場長は「人の熟練度合いに関わらず、導入して直後から安定した結果を得られるのは大きなメリット。AIの判定から人が学ぶべき点もある」と話しています。
参考:経済産業省「AI導入ガイドブック」
(https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/jinzai/AIguidebook_gaikan_ryohin_FIX.pdf)
製品の検査を行う方法として「インライン検査」と「オフライン検査」があります。
まずインライン検査とは、製品の生産ライン上に検査装置を組み込んで検査を行う方法。生産を行いながら品質チェックができるうえ、ロットの全数検査が可能です。検査を機械に任せられるため人件費削減が期待できますが、導入にはコストがかかります。
一方、オフライン検査では生産ラインとは別の工程で製品チェックを行います。全数検査は難しいため、一部の製品を抜き取って検査をします。インライン検査のような検査効率は実現できないものの、複雑な形状でも精密な検査が可能。また、検査員による目視検査では検査精度が安定しないという課題も抱えています。
このようにインライン検査・オフライン検査では特徴やメリット・デメリットが異なり、使用シーンによって選ぶのがおすすめです。
従来の外観検査装置では、欠陥を検出させるため不良とする形や色、大きさなどのデータを人があらかじめ登録する「ルールベース型」の方法が用いられています。
しかし登録には手間がかかるうえ、登録していないデータの欠陥検出は困難。そこでAI技術を活用した欠陥検査に注目が集まっています。
AIでは「製品の特徴を自動的に抽出し、判断する」ことができます。教師あり学習と教師なし学習の方法があり、教師あり学習では正解ラベルをつけて学習させることで不良部分の特徴を一致するものを検出してくれます。また、教師なし学習ではAIが自動的にデータの特徴を学習し分析してくれます。
AI技術を用いれば、従来の検査のように不良登録されたものを見つけるのではなく、「良品と一致しないものを見つける」ことが可能です。そのため、不良の特徴が一致しにくい製品を扱う生産ラインでも大いに役立ちます。