AIは人間の知能を模倣した概念や技術のことであり、AIを活用した外観検査(欠陥検査)はディープラーニングによって「自ら学習できる」ことが大きな強み。
たとえば、製品にシミのようなものが付いていたとします。人間による目視検査であれば、それがシミなのか・シミではないのか、シミであっても合格の範囲なのかなどを細かく判断できるでしょう。
機械による外観検査では、事前に登録されていた不良品パターンに合致すればシミとして検出します。しかし登録データにない場合は検出できず、そのまま納品しかねません。
AIを活用した外観検査の場合、学習しておいたデータをもとに、シミであるのか・シミではないのか・不良品として検出すべきかを判断します。目視検査ほどではないものの、ぱっと見わかりにくいキズやヒビも対応可能。また、学習を重ねるほどに精度が向上し、より高精度な検査が可能になります。
以前は製品の外観検査といえば、人間による目視検査が主流でした。しかし目視検査には時間がかかるうえ、検査員の負担も大きくなります。疲労によって検査精度にバラつきがでてしまうこともありました。
その課題から機械が外観検査を行う外観検査装置が登場。作業員が事前に不良品のデータを機械に登録しておくことで、大量の製品を短時間で検査できるようになったのです。
ただ、外観検査装置には「登録されたパターンの検出しかできない」というデメリットもありました。また、不良品検出されたものが、シミではなく埃であった・人間の目視検査であれば不良品ではなかったというケースも。検査装置では曖昧な判断ができないため、検査精度の向上が課題となっていたのです。
そうして生まれたのがAIによる外観検査。AIの強みは「自ら学習できる」ことや「柔軟な対応」であり、より目視検査に近い判断ができるというメリットがあります。外観検査にAIを導入した場合、不良品のパターンを徐々に学習していくため、再チェックの必要がなく作業員の負担が軽くなりました。
教師あり学習とは、機械に取り込ませた学習データに正解ラベルをつけて学習させる方法です。不良品基準に作業員がラベルをつけて機械に教えることで、その後は自動で不良を検出してくれます。
教師なし学習では、正解ラベルをつける作業を行わずに学習させます。機械がデータの特徴を学習し、AIが分析。事前にキズの大きさや形、色などの特徴を設定しておけば、AIがデータを分析して規則性を見つけ、特徴のクラス分けなどを行ってくれます。
不良品のパターンがいくつもある製造業界では、教師なし学習がおすすめです。
AIが外観検査で行うべきタスクは、「画像分類」「物体検出」「領域分割(画像セグメンテーション)」の3つに大別できます。それぞれ難易度が異なるため、考慮したうえでAIによって実現させるタスクを決定する必要があります。
1枚の画像に不良品が含まれているかどうかを判断するタスクです。その画像がどのカテゴリに属するのかを判断し、たとえば予め設定しておいた「キズあり」「キズなし」のどちらに分類されるのかを決定します。
欠陥がどの位置にあるのかを判断するタスクです。画像中のどの領域に欠陥があるのかを特定し、短形領域を検出します。
物体検出では画像中のどの位置に欠陥があるのかを判断しますが、領域分割では欠陥の形状まで検出します。画像に写っている物体のカテゴリを画素単位で判断するため、サイズや形状に定まりのない欠陥検出にも適しています。
人間が行う目視検査では、作業員の習熟度や疲労などの要因によって精度にバラつきがでます。加えて不良品のなかには目視では見つけにくいキズや異常も少なくありません。
AIによる検査では疲れや作業員の交代による精度のバラつきがなく、目視では発見できないキズ・ヒビ・変色も検知できます。安定した検査精度を確保できるため、一定の品質を保った製品が実現できるでしょう。
目視検査では検査を行う人員が多く必要なのに比べ、検査できる製品数が少ないのがデメリットです。検査を自動化できれば必要最低限の人員を配置するだけで済むため、他の工程に人員を配置することが可能になります。
また、外観検査装置の設定が不十分な場合では、検査精度を確保できず再度目視検査を行うこともあるでしょう。AIを活用した外観検査なら、最初のティーチングや学習を徹底しておけば、高精度な検査を短時間で効率良く進められます。
目視検査は同じ姿勢で長時間実施することに加えてかなりの集中力を要するため、作業員の精神・肉体へ負担がかかります。検査を自動化できれば、装置やAIの管理だけで済み、負担を減らせるでしょう。さらにAIを活用した外観検査を導入すれば、不良判定のルール設定の時間も短縮可能。従来の外観検査装置ではエンジニアが設定作業を行う時間が長く負担となっていましたが、AIなら短時間の作業で済むため効率化にもつながります。
製品の不良パターンは一定ではありません。新たな判定基準や判定項目が増えることは多く、そのたびにルール設定を行うのは負担が大きくコストを伴います。 AIを活用した外観検査であれば、追加の学習データを用意すれば自動で学習が可能。新製品が登場しても柔軟に対応できるでしょう。
キズの大きさや形状が多様なため、AI導入が困難と考えられていた金属加工品。しかし生産量増加に伴い、AI外観検査を導入。良否をプログラムで法則化し、ディープラーニングの活用によって目視検査の精度に劣らない検査を実現できました。
個体差の大きい食品は目視検査を行っていたものの、検出が困難な対象物がありました。そこで画像判定をAIでルール化。目視が難しいアレルギー食品の検出が可能になったうえ、ビニール片などの異物も検出できるようになりました。
多品種を扱う製造工場では、繊細な目視検査に多くの時間がかかっていました。さらに検査品質にバラツキがあるのも課題でした。そこで画像処理を行う検査を導入し、作業工数を大幅に削減。これまで目視検査には熟練の作業員が必要でしたが、検査自動化によって検査品質の安定にもつながりました。
参照:日本サポートシステム株式会社
(https://jss1.jp/column/column_119/#3-2)
ダイカスト鋳造機を用いた製造を行っている工場では、検査の作業工数や品質に課題がありました。検査対象物の生産直後の温度や複雑形状により、ロスコストも発生。
そこでロボットに組み込まれた画像処理システムを活用し、作業工数の削減と検査品質の安定を実現。目視検査が全自動化されたため、検査対象の特性によるロスコスト削減にもつながりました。
参照:日本サポートシステム株式会社
(https://jss1.jp/column/column_119/#3-2)
AIがもつ自ら学習する・高精度な検査ができるというメリットから、「100%不良を検知できるのでは?」「導入さえすればAIが勝手に学習してくれるのでは?」という誤解が生まれがちです。
AIには100%の不良検知はできませんし、勝手に学習してどんどん賢くなることもあり得ません。画像に写っていない欠陥は検出できませんし、教師データや学習データのないパターンはAIでも間違えることがあります。さらに学習時に間違っている結果を修正しないと、AIが「このパターンは正解だ」と判断して不良品を納品するケースもあるので注意が必要です。